「私説東京繁昌記」を読み続けている。この本は写真家・荒木経惟との共著。彼の写真はなんというか「見てはいけないもの」を見せられている気分になってちょっとうろたえてしまうところがある。露になる、というか。ここに収められている写真は83・84年ごろに撮られたもので僕が知っている東京とはかなり違う。僕はこの十年後に上京するのだけど、ここに切り取られている原東京的なものはほぼ消滅していたと思う。

・・・そんなことはないか。神楽坂の路地の写真を見ていると僕が世紀の変わり目にしょっちゅう行っていた、下北沢を思い出す。ごちゃごちゃした街並。ライブハウスや小劇場。古本屋とレコード屋。手作りっぽい雑貨屋。若者で溢れる駅前から5分も歩くと普通の民家になってしまう雰囲気が僕はとても好きだった。まあ下北沢は小林信彦の基準では東京には入らないと思うけど。

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