こないだ地方在住の友人から「東京に来たらこのCDを探すぞー」て感じのメールが来ました。とても楽しげな文面。こういう楽しさ、僕にも覚えがある、とても懐かしい感情。

 僕は埼玉都民ってやつで就職のため上京してからからもうかなりになるのですが、九州人である自分に知り合いがあるわけもなく、週末のたび、独りでレコ屋を梯子してました。地方とは違って「ないCDがない」という状況がうれしくてたまらなかったのです。

 渋谷系華やかな時期で、元パーフリの二人やピチカート、オリジナルラブ、ラブタンあたりが好きでした。雑誌のインタビューを読んで彼らお勧めの曲を探して移転前のタワーやHMVをうろうろ。ただ当時はそのお勧めがジャンル的にどういうものなのかがさっぱりわかってなかったなあ。

 その当時いつも探してたのが、ペイル・ファウンテンズでした。いろんなとこで絶賛されてて、めちゃ心惹かれてたのですが、国内盤は出ていなくて、輸入盤もなかなか見つけられず、たまに見かけたときは手持ちのお金がなかったりして、手に入れるのに何年かかかりました。

 内容はもちろん素晴らしかったです。彼ら独自の音世界が出来上がっててて、その中にいろんな音楽が溶け込んでるという僕が好きなパターンの音楽。

 でもそれを分かち合える人がいなかった。自分でこれは傑作だよなあとうなずくのみ。同じように感動できるものを探すには、自分で雑誌やライナーノーツ、ガイド本を読んだり、好きなミュージシャンの過去在籍したバンドを追いかけたりするしかなかった。インターネットはなかったし。そうやって試行錯誤する間にぼやーっと自分の好みが見えてきたりして。

 ペイル・ファウンテンズを聴くと、その頃を思い出します。自分で書いた「買いCD」のリストを握り締めてレコ屋に行き、目を皿のようにしてCD棚と格闘していたその時代がある意味いちばん真剣に音楽を聴いていたかも知れません。

パシフィック・ストリート
The Pale Fountains/Pacific Street

フロム・アクロス・ザ・キッチン・テーブル
The Pale Fountains/…From Across the Kitchen Table

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