Under Cold Blue Stars

 今週はこれを通勤中に聴き、Manuel Gottschingの“E2-E4”を聴きながら寝た。どちらもひたすら心地よい、僕にとっては永遠に聴いていられるような音だ。後者については以前触れたので今回はこのアルバムについて書いてみよう。

 Josh Rouseについては何度か書いたことがある。今回いつものように記事を書くにあたってJosh Rouseでぐぐってみたら一番前にこの記事がでてきてびっくりした。道理で彼の名前でここに来る人が多いはずだ。

 僕は彼の音楽が大好きだが別に深く追求してるとかではない。これだってこないだ上京したとき買ったばかりなのだ。相変わらず、地味ながら美しいメロディと味わい深いうたが聴けて素晴らしい。このアルバムでは他のアルバムにもまして80年代のイギリスが濃厚に感じられるのが特徴的だと思う。

 ふと連想したのがIvyの“Guestroom”という80年代(だけじゃないけど)のカヴァーを集めたアルバム。どちらにもそれ以前になかったあの時代、ニューウェイヴ通過後のポップのエッセンスが詰まっていて、その時代に10代をすごした自分にはとにかくなつかしい。でもJosh Rouseのほうがより深い影響を感じる。例えばCureのような暗さの裏返しのような屈折したポップさがこのアルバムにもあって僕にはそういうのがツボなのですごく気に入ってしまった。

 90年代の初め頃「80年代は何もなかった」なんて言われたりしたけど、そんなことは全然ないよね。パンクはやっぱり一旦それ以前の音楽を否定していて、それ以降に生まれた音楽はやはりそれ以前の音楽とは断絶がある。歴史がなくって薄っぺらくて軽い。音楽的な裏づけなどなくてもアイデア一発で突っ走る。真剣なのに演奏は適当だったりする。でもそこから生まれた音楽はやはりそれ以前にはない魅力を持っていると思う。

 彼は70年代の音楽に多大な影響を受けているけれども根底にあるのはそうした薄っぺらい音楽で、ギターやベースのちょっとしたフレーズにそれは明確に感じられてる。でもそこがいい。彼の音楽はけっして明るいものではないけれど、彼の出発点となった音楽にはある種の軽さが常に含まれていて、深刻になりすぎるのを妨げている。何度も繰り返し聴けるのはそんなところにも理由があるのかも知れない。

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