80年代ですよね。懐かしいなあ。今はこんな音楽はないですよね。フェアライトという、当時最先端の楽器を使って、新しい音楽を作り出す。SFっぽい歌詞が織り成す未来的な雰囲気。そこには何の屈折も照れもない。「色々難しい問題はあっても未来は素晴らしいんだ」って漠然とみんなが思ってた最後の時代。未来をファンタジックに描くことを「いいなあ」と思うことのできる、まだ余裕のある時代だったんだなとPSY・Sを聴くとそんなことを考えたりします。ああ、懐かしい薔薇色の未来。


psys

 最初は“ATLAS”でした。大学時代の先輩の部屋でかかってた‘wondering up and down~水のマージナル~’を聴いてかっこいいと思ってCDを借りました。そしたら他の曲も全部良くて。もちろんそれ以前にも知ってる曲はありましたけど、本格的にはまったのはそれ以降。サンスト聴いてなかったしね。それからレンタルで過去のアルバムを借りまくり、そうする間に新譜“HOLIDAY”が出てまたはまり…。

 ちなみにこの頃は、音楽よりも友達とお酒を飲んで騒ぐのに忙しかった頃。で、飲み会から部屋に戻ってきて、ぼーっとしてる時、後ろでよくかけてたのがPSY・Sでした。BSでCNNが流してるベルリン崩壊のニュースとかを音を消して眺めながら、聴いた記憶がありますね、89年ごろかな?PSY・S以外ではREM、ニール・ヤング、ジェネシスとか(昔からバラバラですが)洋楽ばかり。この頃は洋楽ロック一筋だったです、PSY・S以外は。ていうかPSY・Sはロックですらないですよね。邦楽ポップスなのになんで好きなのか自分でもしばらくはよく分からないまま聴いてました。今聴きなおすと、初期になればなるほど、いいなあと思いますね。音質とか80年代なんだけど、気恥ずかしさがない。演奏者じゃないんで上手く言えないんだけど、邦楽特有の手垢にまみれたアレンジが僕は嫌いです。PSY・Sはそこから上手く逃れていると思うし、そういったよさはやはり初期に多くあるような気がするのです。それまでにない音楽を作ろうとする意気込みを感じます。

 今でも覚えてるのは多くのPSY・Sファンが好きであろう‘私は流行 あなたは世間’(“Different View”収録)を初めて聴いたときの奇妙な感じ。彼らはただのポップバンドじゃないんだ、と目を見張りながら聴き入り、やがてエンディングのピアノのフレーズが奏でられたとき、ロックじゃなくても凄い曲はあるんだなあと感動し、自分がなぜPSY・Sを好きになったのかを理解したのです。今回はこの記事に触発されて書きました。こういう熱い文章はいいですよね。

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