暗がりのフォークロック

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 中学生の頃、友達が貸してくれたZEPの4枚目。「‘天国への階段’が凄いんだ」って言って、曲目も書いてないカセットテープを手渡してくれた。家に帰って聴いて一番感激したのはA面3曲目。何度も繰り返し聞いて友達に返しながら、「女性ヴォーカル、凄いね」といったら「?」って反応。実はその曲は‘天国への階段’とは別の曲で、ロバート・プラントと競演していたその声はサンディ・デニーだったというわけ。それがブリティッシュ・トラッド・フォークと出会ったきっかけでした。

 キタガワさんのこの記事を読んで、どうしてもこの種の音について書きたくなって、CD棚を見てたらこの名盤が目に止まりました。トンプソン夫妻ほど有名ではないですが、僕はウッズ夫妻も好きです。

 特にこの作品はいかにも英国フォーク的な暗さはあるんですが、かすかにポップさがあるというか、ぎりぎりロックにとどまっているところがいいと思います。透明感のあるゲイの声を聴くとトラッドっぽいんだけど、哀愁漂うテリーの声が混じると西海岸フォーク・ロックみたいになるところがいい塩梅なんですよね。暖かさともの哀しさが同居した楽曲はジャケットとぴったり呼応しているような気もしたり。

 冒頭のサンディの歌声にひかれてから、英国トラッドフォークは色々聴いたのですが、あまりにトラッドすぎるのは苦手なのです。トラッド独自の暗さ、緊張感がありながら、ロックでもある、というのが僕の好みで、それはやはり初めて聴いたそれ系の曲がZEPの‘The Battle Of Evermore’だったというのが大きいのかも知れないですね。特にエレクトリック・ヴァイオリンの響きが印象的な‘Thinking Of You’が好き。久しぶりに聴いたんだけど、しみる音ですね~。

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