安易に「歌で自分を表現したい」

lauralive

 ・・・なんていっちゃいけないんですよ。そりゃあ、何事か表現は出来ると思うけど、なんだか、それって音楽じゃなくてもよかったんじゃないの?なんて思う作品が世には溢れてる。それなりに才気がある人もあったりして、いい作品だったりすることもあるし、聴いて気に入ってるものもあるんですけどね。でも、僕は音楽に魅入られてる人がやってる音楽が好き。

 って前もこんなこと書いたっけ?音楽が好きで、音楽でなら自分を表現できるのではないかと思い、どうにかして表現したいと願い試行錯誤を続けている人のライブや作品に触れていたいな、と思うんだよね。

 才能がある人は沢山いて、そういう人はたいてい自分のスタイルを持ってるんだけど、それだけでは物足りない、とわがままなリスナーの僕は感じたりします。素晴らしい輝きをもってデビューしたアーティストがいつしか同じことの繰り返ししか出来なくなる・・・そんな部分が見えるとどうしても自己再生産じゃないの、て思ってしまうのです。

 人ってのは常に変わるものであって、でも同時に変わらないものでもあると思うんですよ。だからその人もその人が奏でる音楽も、常に変化してて、新鮮さを失わず・・・にもかかわらず、その人でしかないような・・・そういうあり方を求めてしまう。

 今、Laura Nyroのライブ盤を聴いてます。彼女の歌とピアノ、そしてバックコーラスのみの編成でシンプルなアレンジなんだけど、彼女のキャリアの長さ、というか長年自分の表現を突き詰めてきた人だけが到達できる自在さが感じられて何度聴いても、素晴らしいな、と思います。

 というのは過去の作品をたどると彼女がいかに沢山の音楽を愛し、自分のものにいるかってことが分かるのだけれど、そういういろんなやり方を知ってることで、ほとんど本能的に今ここでやるべき演奏を選ぶことが出来ている、そんな気がするんですよね。

 だからちょっとしたフレーズにも凄く存在感がある。聴いてて胸にしみこんでいくるような音で、ほんと、いいよなあ。こういうものが「自分を表現」できてる音楽なんじゃないかと僕は思うんですけど、どうでしょう?

 すっごく切ないんだけど、同時に心温まる雰囲気があって。このアルバムを初めて聴いたとき、音楽を好きになってよかったなと改めて思ったもの。これを読んでもしかしてLAURA NYROに興味を持たれた方がいるのなら、ここへ。分かりやすくかつ彼女への思いのこもった文章を読むことが出来ます。

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