雨ばかりなので

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 ビルの谷間から星空を見上げてるこのジャケットを取り出してみました。実際はこういうところでは空が明るすぎて星空は見えないですよね。街の明かりから遠く離れなくてはだめなのです。

 子供の頃、耶馬溪にキャンプに連れて行ってもらった時に見た振るような星空は今でも忘れられません。目を凝らさなくても天の川が見え、月ではなくて星の気配が感じられることにわけもなく感動したものです。昔の人は当然こういう星空を毎日みていたわけで、それは日常だったわけですが、でも、だからこそそれに神を感じたりしたりしたのかも知れません。いつも見守ってくれる神聖な存在として。

 ジャケット裏にはアンドロメダ座を含む星座の数々が描かれたりしています。アンドロメダ星雲は地球から230万光年離れているそうですが、永遠とそうでないものについて想いをめぐらすのに、この気の遠くなるような距離ほど似つかわしいものはないような気がします。

 そうした星にまつわるロマンティックな連想と愛の物語が詰まっているこのアルバムを聴くのはやはり街がすっかり寝静まった深夜がいいなとおもいます。パディ・マクアルーンのソングライティングは時代とは無関係にいつ聴いても色褪せないですし、そのうたごえも透明感がありつつ、温かくてなんだか人肌が恋しくなったりします。

 ウェンディのコーラスや時折入るサックス、ピアノやオルガン。どれもがはじめからそのようにあった様に奏でられているのもすばらしい。それだけ考え抜かれているのだろうけど、作り込みすぎたようには感じられないのがいいです。

 古代ギリシャの彫刻みたいなとか書いたら、このアルバムの雰囲気にかぶれたと思われるのは必死ですね。でもそんな風に言いたくなります。最先端のサウンドや流行の音作りはここにはないですが、何度聴いても、今初めて体験するように聴こえる不思議な音楽。耳を傾けると、元気が出るというのではないのですが、何か暖かいもので心が満たされます。

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