栗本薫のこと

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昼休みにネットを見てたら、「栗本薫さん死去」の文字が・・・。

自分でも驚くほどショックでした。中高生の頃、栗本薫は本当に好きだったから。「ぼくら」シリーズなんて何度読んだか知れない。「伊集院大介」ものも全部ではないが読んだし、彼女のSF中短編も好きでした。「グイン」も二十何巻までは読んでたなあ。読み始めるとその小説世界に巻き込まれてしまう腕力みたいなのがあるんだけど、そういう熱気が魅力だったと思う。大学を卒業した頃からはあんまり読まなくなったんだけど今でも大切な作家であることは確かです。去年の引越の時、本を大量に処分したんだけど、栗本薫の小説は売らなかったもの・・・。

今日は高校生の頃、「ぼくら〜」と同じくらい繰り返し読んだ「時の石」という中編を読み返してみました。SFというよりは切なくて胸が痛くなるような青春小説。当時の僕は主人公の高校生に感情移入して読みふけったものでしたが、その頃から随分時間が流れたんですね。

猛烈な勢いで小説やエッセイを執筆し、テレビやら音楽やらいろんなところで活躍していたことを思うとなんだか亡くなられたのが信じられない気持ちです。もっとたくさん書きたかっただろうなあ・・・。ご冥福をこころからお祈りします。

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小林信彦のこと その3

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 会社帰りに久々に本屋に寄る。東京にいた頃は職場が神田の本屋街に近いせいもあってふらふらと寄って帰ったものだ。地方にいるとなかなか自分の欲しい本が見つからないとつくづく思う。amazonで買えばいいといえばそうなのだけど、やはり手にとってぱらぱらめくってみたいのだな。まあこれはCDにもいえることだけど。頭の中でそんなことを考えながら文庫のコーナーを見てたら小林信彦「私説東京繁昌記」を見つけた。僕はこれの姉妹編というか大分後に書かれた続編のような「私説東京放浪記」のほうは持ってて、愛読してたので、迷わず購入。僕はこの人の東京ものが好きなので、しばらくは楽しませてもらおうと思う。

 小林信彦は今の東京は嫌いで、昔の、というか自分の子供の頃の東京(戦前)を愛してることを繰り返し書いてるのだけど、そうして描かれたかつての東京はとても魅力的で、地方のいなか暮らしをしている僕には縁もゆかりもないはずなのに繰り返しよんでしまうのはどうしたことだろう?去年まで僕が十数年そこで働いていた東京…始終工事中のような、移り変わりが激しくて、まるで土着のすんでいる人がいないかのような…そういうのとは違った、生活の場としての東京の魅力とそれが失われていく様を描く小林信彦の文章は読んでいて心地いい。確かに彼にしてみれば今の東京は耐え難いのかも知れないけど、それでもなんにも起こらない地方よりははるかにましだと思ったりもする。そう思う人があつまったおかげでいまの得体の知れない東京ができてるんだろうなあ。

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小林信彦のこと その2

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 昨日の続き。多分小林信彦については「本の雑誌」のコラムで名前は知ってたと思う。でも興味を持ったのは「ビートルズ論争」だろうな。小林と松村雄策とビートルズを巡っての言い争い。RO読者だった僕は松村に肩入れしてたけど、今にして思えば両者とも大人気ないって気もする。

 一方で僕はSF読みでもあったから星新一の商業誌デビュー作である「ヒッチコックマガジン」については名前だけは知っていた。その編集長をしていたのが小林信彦だと知ったのもだいたい同じくらいの時期だったように思う。なんとなくその名前に引っかかりを覚えだしたちょうどその頃にテレビで「ウーマンドリーム」というドラマが始まった。バッシングされる前の裕木奈江がでていたやつ。まあ裕木奈江はどうでもいいのだがその原作が小林信彦だったのだ。で、原作「極東セレナーデ」を購入。結構おもしろかったのでそれからは文庫が出たら買い、古本屋で見つけたら買い(小林の本はすぐ絶版になっちゃうのだ)したら、いつのまにかファンになってた。

 小林の本といえば「日本の喜劇人」に代表される芸人ものが有名だし、僕もこれらの作品を(出てくる芸人の名前しか知らなくても)凄いと思うのだが、一番好きなのは今読んでる「夢の砦」だ。これは「ヒッチコックマガジン」編集長の頃の小林自身をモデルにした自伝的小説で、ここで描かれている若き日の「自信と不安」が極端に行きかう小林の姿は魅力的。今ちょうど創刊号を作るあたりを読んでます。ところでこの本を読んでずっとたってから古本屋で見かけた「ヒッチコックマガジン」を読んでおもいだしたのが第二期の「奇想天外」(今は亡きSF雑誌。やたらとコラムや対談の多い雑誌だった)。新井素子が新人賞をとった号が家のどこかにあるはずなんだけど、見つからないんだよね・・・。

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小林信彦のこと その1

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 今読んでるのは「天才伝説 横山やすし」。こないだのやすしの息子の事件がきっかけです。読み始めるとそんなの関係なくなったけど。やっぱり芸人を語ってるときが一番この人は生き生きしてる気がするな。膨大な知識と現場経験に裏打ちされたこの人のエンターテイメント時評を読んじゃうと、簡単に批評めいた文章はかけないよね。「評価を下す」裏にどれほどの深いバックグラウンドが必要か知ってしまったし、対象に対する深い愛情をともなってるからこそ、その文章にひきつけられるんだと分かったから。にしても、読んでると影響を受けやすいので気をつけないと。うわっつらの真似なんてイタイことこの上ないから。

 小林信彦については何度か書こうと思ったんだけど、そのたびに挫折しました。いつも文章書く前には下調べをかめてぐぐってみるんだけど、そのたびにファンの人の濃い~ページを見つけてよみふけっちゃう。自分の文章を書くところまで行かない。今日もそうだったんだけど何とかここまで書けました。「天才伝説 横山やすし」は読んだので、明日からは「夢の砦」を再読しようかな?

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山本文緒はやっぱ凄いよねえ

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 そういえば、まだここでは触れてなかったんですよね、文緒さんについて。彼女の作品は大体読んでます。どれも面白いです。恋愛小説なんだけど、独りよがりではなくちゃんとエンターテイメントしてるところがいい。プロットが滅茶苦茶考え抜かれてて飽きさせない(全然作風違うけど、なんか宮部みゆきを思い出す)。文章も読みやすいし。

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久々に読むヒメノ節

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 さっきまで近所のレストランで昼食をとってた。ここはフランス家庭料理の店らしいのだが、でもって自分はフランスの家庭料理がいかなるものか知らないので、ここの味がほんとにそれ風なのかは分からないが、まあまあおいしいので時々いっている。しかし、お客さんの数に対して店員少なすぎでいっつも待たされる。そんなわけでいつもの通り文庫文を持っていった。石田衣良「娼年」である。待っている間にまず解説を開く。姫野カオルコだ。懐かしいなあと思った。

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中島らもについて

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 らもさんが亡くなった。階段から落ちたのが原因らしい。とっさに「泥酔して」と脳内変換してしまった。あまりにもらしい亡くなり方で、まじかよー、悲しみつつも思ったファンも多いと思う。「明るい悩み相談室」シリーズ、「今夜すべてのバーで」「しりとりえっせい」「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」「ガダラの豚」・・・おもしろエッセイも小説もどちらもたくさん読んだ。

 特に最初期の「頭の中がかゆいんだ」は繰り返し。あの危うさが魅力だったんだよな。精神的にきつい時によ読むとなんか落ち着いた。らもさんの本は精神安定剤っぽかった、僕にとって。今はほとんど読まなくなったる。安定してるってことか。それはいいことなのかな?もう新作読めないと思うと悲しいな。合掌。

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