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安易に「歌で自分を表現したい」
・・・なんていっちゃいけないんですよ。そりゃあ、何事か表現は出来ると思うけど、なんだか、それって音楽じゃなくてもよかったんじゃないの?なんて思う作品が世には溢れてる。それなりに才気がある人もあったりして、いい作品だったりすることもあるし、聴いて気に入ってるものもあるんですけどね。でも、僕は音楽に魅入られてる人がやってる音楽が好き。
って前もこんなこと書いたっけ?音楽が好きで、音楽でなら自分を表現できるのではないかと思い、どうにかして表現したいと願い試行錯誤を続けている人のライブや作品に触れていたいな、と思うんだよね。
才能がある人は沢山いて、そういう人はたいてい自分のスタイルを持ってるんだけど、それだけでは物足りない、とわがままなリスナーの僕は感じたりします。素晴らしい輝きをもってデビューしたアーティストがいつしか同じことの繰り返ししか出来なくなる・・・そんな部分が見えるとどうしても自己再生産じゃないの、て思ってしまうのです。
人ってのは常に変わるものであって、でも同時に変わらないものでもあると思うんですよ。だからその人もその人が奏でる音楽も、常に変化してて、新鮮さを失わず・・・にもかかわらず、その人でしかないような・・・そういうあり方を求めてしまう。
今、Laura Nyroのライブ盤を聴いてます。彼女の歌とピアノ、そしてバックコーラスのみの編成でシンプルなアレンジなんだけど、彼女のキャリアの長さ、というか長年自分の表現を突き詰めてきた人だけが到達できる自在さが感じられて何度聴いても、素晴らしいな、と思います。
というのは過去の作品をたどると彼女がいかに沢山の音楽を愛し、自分のものにいるかってことが分かるのだけれど、そういういろんなやり方を知ってることで、ほとんど本能的に今ここでやるべき演奏を選ぶことが出来ている、そんな気がするんですよね。
だからちょっとしたフレーズにも凄く存在感がある。聴いてて胸にしみこんでいくるような音で、ほんと、いいよなあ。こういうものが「自分を表現」できてる音楽なんじゃないかと僕は思うんですけど、どうでしょう?
すっごく切ないんだけど、同時に心温まる雰囲気があって。このアルバムを初めて聴いたとき、音楽を好きになってよかったなと改めて思ったもの。これを読んでもしかしてLAURA NYROに興味を持たれた方がいるのなら、ここへ。分かりやすくかつ彼女への思いのこもった文章を読むことが出来ます。
タグ: 90's, R&B, US, レビュー土埃のするリリカルなサウンド
長く音楽聴いてると、自分に合うものが自然と分かるようになるもんなんですよね。このCDがその良い例で視聴で一発で気にいって買ったんだけど、その後もずっと聴き続けてます。暖かなアコースティックサウンドの上に乗っかるメロディが素晴らしくて、何度もリピートしたくなります。
この人はスミスが好きだそうですが、そう思って聴くとイギリスっぽいメロディなんだよね。Joshはアメリカ人なんだけど、なんか英国人がカントリー・ロックをやってるように聴こえる瞬間があったりします。
アレンジもアコギを基本にパッパラコーラスあり、ストリングスで盛り上がったり、ピアノでシンプルに迫ったりと多彩なんだけど、作りこみすぎてない自然な感じで飽きさせない。それから声もいいんですよね。なんか切なくてさ、線が細い気もするけど、そこがまたいい。
一時期この手の音はオーソドックス過ぎるというか、どこか閉じた感じがして聴けなかったんだけど、今はすっと入ってくるのが不思議です。以前が音楽を頭で聴きすぎていたのか、それとも今新しい音に反応できなくなったのか・・・多分両方なんだろうなあ。
タグ: rock, US, レビュー偏頭痛がおさまった記念に
こののほほんとした名盤をかけてみました。78年パンク・ムーブメントという逆風の中(と必ず紹介されている)発表されたこのアルバムでのケヴィンは「そんなこと知らないよ」という感じで楽曲・演奏とも快調そのもの。
アンソニー・ムーア(スラップ・ハッピーの人)のプロデュースのおかげなのか音が古臭くなく今でもなんの違和感もなく聴けます。リラックスした雰囲気の楽曲に必要以上にプログレッシブすぎない程度に面白いアレンジが施された演奏が心地よく、その上にご機嫌なあの声でうたわれる・・・悪いわけがありません。これを聴くと人脈的にはプログレなケヴィンが本質的にはSSWであることを実感せずにはいられないのです。本当に気持ちよさそうに唄っていて、聴いているだけで幸せな気分になれるんだよなあ。おすすめです!
タグ: 70's, rock, UK, プログレ, レビューいいです
こないだ矢野顕子を紹介したんで、こんどはピアノの響きがいいやつってことで久々に聴いてみたんだけど、いいなあ、やっぱり。全編、ピアノソロのみ、しかも完全な即興演奏。なのにまったくだれない。快い緊張感とともに紡ぎだされる尋常じゃない美しいメロディ。1曲目とか26分もあるんだけど、聴くのを中断するなんてできっこない。そして演奏が終わって一瞬後に湧き上がる拍手を聴いて、「ああライブなんだよな」といつも思います。
しかし、ケルンを紹介しているサイトの多いこと!かなりポピュラーな作品なんだけど「自分だけのもの」という特別な感じを与えてくれる音楽であり演奏なんですよね。
タグ: 70's, jazz, レビュー